コロナ後遺症とMCASとヒスタミン

身体に異物が侵入しようとするとき、細胞が砦として防御反応を起こします。同時に細胞内にアラートを鳴らします。これは肥満細胞という名前の細胞が主に作動する急性の激しい反応です。肥満細胞が抱えているヒスタミン顆粒を放出するので、ヒスタミンが一気に増える反応ともいえます。肥満細胞活性化症候群MCAS*は以前から知られる反応ではありますが、近年メカニズムがコロナ後遺症に応用できると知られるようになり、より注目度が高まってきました。

特にこの2年間は機能治療(functional medicine)を行う医師の間でコロナ後遺症について議論するときMCASが話題にならなかったことがありません。コロナ後遺症の対策を講じるときにMCASとの関連に気づいていると役に立ちます。また、コロナ後遺症が長引いたり、重症化しやすい人たちの共通点として、MCASとの関連がヒントになります。MCASの対策を普段から行なっているとコロナの後遺症が軽いと米国の臨床医がコメントしています。このコメントの意図するところは、普段から根本治療で慢性疾患を治しているかどうかです。また、ヒスタミンの刺激を新たに加えないなども含まれます。

MCASが起こりやすくなる隠れた基礎疾患や病態についてリストアップしました

下記のリストの慢性疾患と今まで縁がなかったという方でも、コロナの遺伝子ワクチンを接種済でしたらリストを眺めるだけでも有益ではないかと思います。下記は独立したリストというわけでもなく、横のつながりもあります。コロナ禍で環境が変わり免疫や健康を意識し始めるようになった方や、健康を本質的な観点から見つめ直そうという思いの方が増えました。コロナ後遺症が重くて怖い、とおののくよりも、解明されていることを知っておいたら対策が取れますね。

ご自分の生まれた時からの外部環境や体内の有機体の変化や親世代から引き継いだものも関わり、さまざまな事柄の点と点がつながるでしょう。自己とバランスを崩す存在との共存した最終形を俯瞰することができるでしょう。そのアンバランスを的確に調整するお手伝いをするのが我々のミッションです。

MCASが起こりやすくなる隠れた基礎疾患や病態

(=コロナ後遺症が起こりやすくなる隠れた基礎疾患や病態)

  • 環境のかび感染(例アスペルギルス、ペニシリウム、スタキボトリスなど)、マイコトキシン(例オクラトキシン、トリコテセン、ゼアラレノン、ミコフェノールなど)
  • カンジダ感染
  • ピロリ菌感染
  • ライム病、バルトネラ、バベシア
  • 過敏性腸症候群
  • SIBO
  • 腸内細菌叢のアンバランス(腸内腐敗)dysbiosis (例モルガネラ菌、緑膿菌、シトロバクター、クラブシエラなど)
  • セリアック病
  • 自己免疫疾患、自己免疫異常
  • エーラスダンロス症候群
  • 水銀などの有害重金属中毒
  • 農薬、有機溶剤などの化学物質の中毒
  • 遅延型食物アレルギー
  • リーキーガット
  • 関節リウマチ
  • 片頭痛
  • 耳鳴り
  • うつ症状
  • 慢性の皮膚炎(乾癬、アトピー性湿疹、掌蹠膿疱症など)
  • ぜん息
  • 異食道逆流症
  • 不妊、子宮内膜症
  • 間質性膀胱炎
  • 不整脈、胸痛
  • POTS(体位性頻脈症候群)
  • 糖尿病

上記の枠内の活用法は、例えば、小腸のガスのSIBOトラブルがある方は特定のトリガーがあるとMCASの現象を起こしやすい。ワクチンのスパイクタンパクがトリガーになって炎症反応を起こし後遺症が長引く。と、読み取れます。他もSIBOのところを入れ替えて同様です。

*肥満細胞活性化症候群 MCAS mast cell activating syndrome についてはサイトの本文を参照してください。

補足

ヒスタミンを多く含む食品 

MCASの発症頻度が高い方はできるだけ避けたほうが良いヒスタミン含有食品

  • チョコレート、チーズ、ピクルス、その他の発酵食品、アルコール、鮮度の低い魚、食品添加物、加工食品、缶詰食品、豆類、ナス、ナッツ、熟した果実、ドライフルーツなど

<参考文献>

Weinstock LB, Brook JB, Walters AS, Goris A, Afrin LB, Molderings GJ. Mast cell activation symptoms are prevalent in Long-COVID. Int J Infect Dis. 2021 Nov;112:217-226. doi: 10.1016/j.ijid.2021.09.043. Epub 2021 Sep 23.

Theoharides TC, Conti P. COVID-19 and Multisystem Inflammatory Syndrome, or is it Mast Cell Activation Syndrome? J Biol Regul Homeost Agents. 2020 Sep-Oct,;34(5):1633-1636

Vojdani A, Vojdani E, Kharrazian D. Reaction of Human Monoclonal Antibodies to SARS-CoV-2 Proteins With Tissue Antigens: Implications for Autoimmune Diseases. Front Immunol. 2021 Jan 19;11:617089.

Yong SJ. Long COVID or post-COVID-19 syndrome: putative pathophysiology, risk factors, and treatments. Infect Dis (Lond). 2021 Oct;53(10):737-754.

Afrin LB, Weinstock LB, Molderings GJ. Covid-19 hyperinflammation and post-Covid-19 illness may be rooted in mast cell activation syndrome. Int J Infect Dis. 2020 Nov;100:327-332. doi: 10.1016/j.ijid.2020.09.016. Epub 2020 Sep 10.

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